昨年末、Evercoolの方から、TRANSFORMER 3のレビューをしてくれないかと突然依頼された。もちろんやぶさかではないのですぐにOKの返事をし、そして3月の頭に到着したので早速レビューしたい。
左がTRANCEFORMER 3、右がContac 29
今回は、前回レビューした、Thermal TakeのContac29とほぼ同様の形状の為、比較に用いた。先に結果から言ってしまえば、Thermal TakeのContac29の勝利だった。ベンチマークはintel Core i7 i870sを200MHz x 20 = 4000MHz(TB-OFF)へとクロックアップした状態で、CINEBENCHをCPUで5回ループさせ、その際の最低値と最高値を計測した。ベンチマーク結果はこちらだ。
TRANSFOMER 3 (Peak 79-81度 / Idle 27-31度)
Contac 29 (Peak 76-78度 / Idle 26-29度)
正直言ってこの結果から、Contac 29と比較して同等どころか、2-3度低いというあまり思わしくない結果となってしまったため、レビューとして公開しない方がいいのではないか?とEvercoolにすぐにメールを投げたのだが、その心配はないといわれた。なぜならば、TRANSFOMER3はContac 29とは価格帯が違い、市場想定価格は2980円としているのだという。確かに、Contac 29は市場価格で言うと4000~5000円の価格帯の製品となっている為、Contac 29はTRANSFOMER 3の価格帯とは違い、一段上のクラスの製品であると言える。その一段のクラスの製品と2度~3度しか違わないのであれば、それは全く悪いことではない。むしろ良いことでもあるだろう。という事だった。
左がTRANSFOMER 3、右がContac 29
ヒートパイプのサイズが6mm/8mmと違っている
確かにこれだけの価格差があって、2-3度程度しか差が無いのであれば、かなり良い選択肢となり得ると思う。実際に、4GHz程度のオーバークロックであれば、まず冷却に問題が出るレベルではないだろう。また、今回はLynfieldでテストしたが、これよりも発熱の低いSandybridgeであれば、なおさらこのクラスでも必要十分な冷却能力を有していると言える。
Core i7-2600Kや870Kなどの、CPUクーラーが付属しないオーバークロックモデルのCPUに対しても、限界ギリギリのカリカリチューニングをしない限り、Contac 29はおろか、TRANSFOMER 3で十分であると思う。
さて、TRANSFOMER 3の細かいディテールを見ていこう。
付属品類は、AMD向けの取り付け具(右上)と、intel向けの取り付け具のネジ類、そしてシリコングリスになる。このシリコングリスであるが、かなり粘性の低いもので非常に扱いやすく、また伸びやすかったのが印象的だった。




ヒートシンク部の重量は475g、FANは160gだった。参考までにContac 29は460g/112gだったので、TRANSFOMER3の方が重いことになる。特にFANに関しては持っただけでも差がわかるほどに重かった。
マウントに関しては、AMD CPUにはそのままバネで止めるだけのものであり、方向の設定が一方向なので、正直言ってこの点はどうなのだろうと思う部分もある。できれば、4方向すべて好きな方向に設置できるのが理想だろう。intel CPUではどの方向へも設置することが可能だが、一般的には後方廃棄になるように設置するのが理想だろう。参考までにintel CPUへのマウント(LGA1156)方法を紹介したいと思う。

マザーボード背面からワッシャーを挟みネジを挿しこむ


背面から挿しこんだネジにスペーサー(画像右)をつける

付属のシリコングリスを塗布する。多めの方が良いと思われる

ヒートシンクを乗せ固定ネジで固定する

ファンを取り付けて完成
と、取り付けは、マザーボードをケースのバックプレートから外さなければならないことを除けば簡単だ。初期のContac29や純正FANの様にプッシュピンで固定する方法は、これだけの重量を持つヒートシンクの場合には、正直言って心もとない。それを証明するかのように、Contac 29では最近流通している新バージョンでは、プッシュピンからネジ止め式に固定方法が変更されている。ネジ止め式であればまず間違いなく固定できるため、プッシュピン方式の様にケースを開けてみたら取れかけていた…などということもなく安心できる。



グリスとCPUの密着度合に関してだが、少量の場合には写真の様に少々伸びる範囲が少ないと感じた。そのため、少し多めに塗布しておいた方がいいのではないだろうか?

右のContac 29はヒートパイプとヒートバッファの間にかなりの隙間があり、そこにグリスが埋まってしまうため、大量のシリコングリスが必要となるのだが、左のTRANSFOMER 3では加工精度が高く、そのような心配は少ないだろう。
FANをマウントするゴムブッシュピンであるが、Contac 29の黒いゴムと比べて非常に柔らかい材質でできており、とても簡単に取り付けることができる。…のだが、取り外しにはかなり注意しないと、少々引っ張っただけでも切れてしまう事があるので注意した方がいいだろう。特に、一度マザーボードに固定したあと、FAN下部のピンを外そうと思った時に壊れやすいので注意して欲しい。

このゴムブッシュピンに関しては、8つほど付属しているのだが、個別で入手する方法も無く、1つ破壊してしまうと、両面にFANを取り付けようと思った時にピンが足りなくなってしまう。できれば予備として10個程度付属して欲しいところだ。
ただ、この手のCPUクーラーの場合、両面にFANをつけたからと言って劇的に温度が下がるという事もほとんどなく、実際に両面にFANを取り付けることは稀であるとも思われる。少なくとも筆者であれば、もしこれ以上に冷やしたいのであれば、素直にもっと効率のいいFANに買い替えてしまった方が賢明だと考える。
FANの能力に関してはContac 29とほぼ同性能で、一般的なPWM制御が可能な12cm FANだと思って問題ないだろう。騒音も静か~とは言い難いが、うるさいというほどでもない。intelのCPUに付属する純正FANの高速回転に比べれば圧倒的に静かなのは言うまでもない。
まとめとしては、このTRANSFOMER 3の存在価値は、その、市場想定価格である2980円という価格にあると思われる。最安などを探せば、もう少し低い価格で販売されていてもおかしくないはずだ。
純正FANは少々うるさいと感じているのであれば、2980円でこのTRANSFOMER 3は静穏化としてオススメだ。また、オーバークロック向けCPUで純正FANが付属しないAMDのBE型番やintelのK型番のCPU向けとしても、極度にオーバークロックをしない限り必要十分な能力を持っていると言えるだろう。
TRANSFOMER 3の登場によってContac 29など中級クラスのCPUファンの立ち位置が微妙になってしまう気もする。もちろんContac 29などの中級クラスのCPUファンも必要十分ではあるのだが、コストパフォーマンスから見ればTRANSFOMER 3は非常にレベルの高い製品であるし、もしTRANSFOMER 3で満足いかないのであれば、おそらく中級クラスのCPUファンでも納得がいかないだろう。その場合であれば、上級、ハイエンドクラスのCPUクーラーや、水冷クーラーなどを検討することになるので、中級クラスのCPUクーラーの存在が危ういものとなりそうだ。
これを発端に価格競争が起きて、中級クラスのCPUクーラーたちが、もう少し価格が下がるかもしれない。それくらい、TRANSFOMER 3のコストパフォーマンスというのは非常に魅力の高いものだと感じた。もし純正FANから取り替えてみようというのであれば、まずは価格も安く、性能もそれなりに高いこのTRANSFOMER 3はオススメできる製品であるといえよう。この価格で出てきたインパクトは大きい。それくらいのインパクトのある製品だと言えるだろう。この価格で出してきたEvercoolに拍手を贈りたい。
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